こんなシーンに覚えはないでしょうか。
< 定期面談があるから、来期の目標を考えておくように。
企業によって様々だと思いますが、期末や中間面談の時期が差し迫ると、上司からこんな一言を言われるシーンは多いと思います。
(そんな事言われてもなぁ…。今やっている作業で手いっぱいだよ…)
上記のように、頭を抱える若手エンジニアは多いのではないでしょうか。(現に、筆者もそうでした)
そこで今回は、3年目のエンジニアがどんな目標を、どのように立てれば良いかをご紹介致します。
何故、目標を決める必要があるのか?
そもそも、何故目標なんて決める必要があるのでしょうか。
例えば、こんなシーンを想像してみてください。カレーの材料を買いにスーパーに来た人と、ただ何となくスーパーに来た人。
前者は、買うものがあらかじめ決まっているため、買い物もスムーズに進みます。ですが、後者は売り場をふらふらした結果、何も買わずに出て来る事が多いです。
このように、目標があるのとないのでは、著しく行動に差異が生じます。
日々の作業も同じことが言えます。単体テストを決められた期限までに終わらせる。これも立派な目標です。期限を決めず、ダラダラ進めるとどうなるでしょうか。きっと、いつまで経っても終わりません。
目標は、作業を効率よく進めるために決めるものです。
では何故、企業から目標を決めるように言われるのでしょうか。順を追って見てみましょう。
従業員が成果を出しているか、見極めるため
企業も、売上、利益がなければ立ち回る事が出来ません。
そこで、従業員に目標を定めさせて、その従業員が成果を出しているか見極めます。成果を出していれば、企業の売上、利益に繋がります。
目標を達成出来ているかどうかは、企業にとってその従業員が必要な人材なのか判断する材料になります。正社員や契約社員でなく、アルバイトにも同じ事が言えます。
従業員が成果を出していれば、その人はシフトに入りやすいですが、あまり成果を出さない従業員はシフトに入りづらい…そんな場面、見た事ある方もいらっしゃるかもしれません。
従業員の給与の決定
もう一つは、従業員の給与の決定です。
簡単な事ですが、設定した目標通りに、従業員が成果を出していれば、会社の売上も上がります。成果を出していれば、より多くの報酬が給与として支払われます。
給与の金額を決める際、設定した目標を達成出来たかどうかで、どのくらい昇給するかが決まります。
目標の種類
何故目標設定をする必要があるのか分かった所で、次は目標の種類について見てみましょう。
スキル以外の目標
よく耳にするのは、コミュニケーション能力の向上だと思います。ですが、コミュニケーション能力と一口に言っても、様々な観点があります。
特にエンジニアは、人前で話す事が苦手な人が多いと思います。(筆者もその一人です)
ですが、意外と「話す」機会が多いのも、この業界の特徴です。
話す事と、伝える事は、似ているようで、その性質が異なります。話す事は、文字通り何かを喋る事ですが、伝える事は、自分の考えを一旦整理する必要があります。整理せずに話し始めると、伝えたい事のほとんどは伝わりません。
あなたが目標に置きたいのは、どちらでしょうか。
聴いた話が理解出来て、コミュニケーションは成立します。
恐らくコミュニケーションが苦手という方は、聴く力はあるものの、話す力に不安を抱いている方がほとんどだと思うため、目標を立てる場合は、話す力に重点を置いた目標になると思います。
円滑なコミュニケーションを図るため、あなたが重要視したい事は何でしょうか。
エンジニアとしての目標
エンジニアとしての目標は、普段の作業を振り返ってみると、目標が決まる事が多いです。
特にプロジェクトの終わりに振り返ってみる事で、自分の反省点、改善点が見えてきます。
コーディングの品質はどうだったか、納期はきっちり守る事が出来たか、残業ばかりしていなかったか……。
また、今後やってみたい作業工程を見つけるのも良いかもしれません。
キャリアの目標
大まかに言うと、管理系の仕事をするプロジェクトマネージャーと、技術を極めたスペシャリストの二つの道に分類される事が多いです。二つの仕事について、詳しく見てみましょう。
- プロジェクトの統括、人員管理や、進捗管理、コスト管理など
- クライアントとの予算や納期等の交渉
一方で、プロジェクトに参画しているメンバーの管理も行うため、リーダーシップや、説得力、人望も必要になってきます。
普段、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーが何をしているか見てみると、イメージが湧きやすいかと思います。
技術を磨く事に深い関心を持ち、現場での作業が楽しく感じる人は、スペシャリスト向きの気質を持っています。特に今、注目されているスペシャリストは、下記のエンジニアです。
- AIエンジニア
AI(人工知能)の開発を専門とするエンジニアです。汎用的プログラム言語「Python」の理解が不可欠です。 - クラウドエンジニア
クラウド製品を利用したシステムの設計、開発を行うエンジニアです。アマゾンが提供するAWS(Amazon Web Services)やマイクロソフトの提供するAzureなどを使いこなす技術が必要です。 - セキュリティエンジニア
情報セキュリティに特化した設計、運用を行うエンジニアです。サイバー攻撃を未然に防ぐために、調査や対策を行います。 - AR・VRエンジニア
AR(拡張現実)、VR(仮想現実)を駆使し、仮想世界を作り上げるエンジニアです。Unityと呼ばれる開発プラットフォームに触れる機会が多いです。
ビジョンの目標
上述した、スキル以外の目標、エンジニアとしての目標、キャリアの目標を踏まえた上で、数年後の自分の姿を想像してみましょう。
どんなエンジニアになりたいでしょうか。また、この人みたいなエンジニアになりたいと言った、目標になる人物はいるでしょうか。
更に踏み込むと、具体的にいくら稼ぎたいでしょうか。数字を考えてみると、目標はよりリアルになります。
目標実現のための実行計画
目標の種類は、ざっくり把握出来たかと思います。
次は、その目標を達成するために具体的に何をするべきか、見てみましょう。
スキル以外の目標
例えばコミュニケーション能力の向上で目標を立てると、こんな感じになります。
- ミーティングでは、必ず発言するようにする。
- 分かりやすく説明できるようになる。
- 社員と交流する機会を増やし、話せる機会を作る(オンライン飲み会など)
- 相手の目を見て、相槌を打ちながら聴くようにする。
- 話を正確に聴けるようにする。疑問点がある場合は、すぐに確認するようにする。
コミュニケーション能力の向上を目標に掲げると、一人で達成する事は困難なため、誰かの手を借りて実現する事になります。
そのため、目標を達成出来たか、他の人から評価してもらう事が出来ます。
エンジニアとしての目標
エンジニア3年目となると、コーディングや単体テストは、ほぼ自力で出来るようになっているのではないでしょうか。
ですが、その作業の品質・納期・コストはどうでしょうか。
例えば、単体テストでバグが多いと、コーディングの品質が悪い事になります。また、納期はどうでしょうか。納期を守るために残業ばかりしていると、コストがかかっている事になります。エンジニアとしての目標を立てる場合は、こんな感じになります。
- 見切り発車でなく、設計書を熟読してからコーディングをし、品質担保に努める。
- 残業でリカバリーしようとせず、作業の最短ルートを模索するようにする。
- 期限に間に合わなそうだったら、早めに相談する。
エンジニア3年目になると、新人教育を任される事もあると思います。それを踏まえて、今後やりたい作業で目標を立てると、こんな感じです。
- 新人が質問しやすい環境を作り、分からない箇所を的確に説明できるようにする。
- 基本設計が出来るようになる。
- 結合テスト、総合テストの試験書を作れるようになる。
上記のように目標を立てると、今の自分に何が足りていないか見えてくると思います。特に結合テスト、総合テストの試験書を作る際は、コーディングスキルだけでなく、業務知識が必須になってきます。
キャリア・ビジョンの目標の前に…
キャリア・ビジョンの目標を実現するために、何をするべきか考えたい所ですが、ちょっと待ってください!
今の会社で掲げた目標を達成出来るなら、それに越した事はありません。ですが、目標となる人物に追いつくために、今の会社で吸収出来るスキルはあるでしょうか?
掲げた年収を数年後もらえる見込みがあるでしょうか?
もし違うなら、転職を検討してみてください。
スキルやエンジニアとしての目標は、どの会社にいても同じような目標になりますが、キャリアやビジョンの目標は異なります。
若手エンジニア、特に3年目のエンジニアの方なら、実務経験も積んでいますし、経験者枠で転職が成功する見込みが高いです。
転職に気が進まない方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたか?少しでも目標を立てる道筋が見えたなら幸いです。
エンジニア3年目になると、駆け出しの頃より出来る作業が増える反面、作業の方向性や、将来の方向性も迷いやすい時期かと思います。
ですが、やってきた作業は着実に経験値として積み重なっていますので、それを糧に更なる活躍が出来るよう、願っております。
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